憲法ー人権(人権総論①)
今回は人権に入りたいと思います。
みなさんは人権と聞いて何を思い浮かべますか?人権の歴史は、1215年のイギリス、マグナカルタまで遡ります。日本では、大日本帝国憲法がプロセイン憲法をモデルとして作られましたが、人権の保証は法律の範囲内と制限的でした。
しかし日本国憲法11条では、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられるものとされています。憲法は例年5問しか出題されませんが、暗記すれば確実な得点源となるのでしっかり覚えておきましょう。
目次
人権の分類
人権は大きく
①自由権:国家からの自由と呼ばれ、個人の自由な活動を保証する権利
②社会権:国家による自由と呼ばれ、社会的弱者が人間に値する生活を送れるように国家に一定の配慮を求める権利
③参政権:自己の国の政治に参加する権利
④受益権:国に対して一定の行為を求める権利
さらに自由権には
⑴精神的自由:学問、表現などの精神的活動を行う自由
⑵経済的自由:職業選択などの経済的活動を行う自由
⑶人身の自由 :国家から不当に身柄を拘束されない自由
に分かれています。これらの個別の内容はのちに解説しますので、今回は大まかに人権の種類とどのような権利かを頭に入れておいてください。
人権の享有主体
人権は、人間が生まれながらにして持っている権利だと書きましたが、法人や外国人はどうでしょうか?自然人の日本国民と同様に保証されなければならないのでしょうか?
判例は、法人に対しては「権利の性質上可能な限り人権が保証される」としており、外国人に対しても「権利の性質上日本国民を対象としているものを除いて人権が保証される」としています。
これらは両方とも「性質説」と呼ばれています。
では、実際に法人と外国人に分けて判例を見ていきましょう。
⑴法人
①八幡製鉄所事件
[事案]
八幡製鉄の代表取締役が政党に対して政治献金をしたため、同社の株主がこの献 金が会社の目的の範囲外の行為として無効を訴えた
[判決]
憲法の定める権利義務の各条項は、性質上可能な限り内国の法人にも適用され、自然人と同様国や政党の特定の政策を支持・推進し又は反対するなどの政治的行為をなす自由を有し有効である。
[事案]
強制加入団体である税理士会が、会の議決に基づいて税理士法を業界に有利な方向に改正するための工作資金として会員から特別会費を徴収し、それを特定の政治団体に寄付した行為が税理士会の目的の範囲外の行為で無効かどうかが争われた。
[判決]
税理士会が強制加入としている以上、構成員には様々な思想・信条及び主義・主張を有するものが当然に予定されており、税理士会が政党など特定の政治資金規正法条の政治団体に金印を寄付することは目的の範囲外の行為であり無効である。
以上が法人について争われた判例です。①は昭和63年、平成7年、29年、②は平成16年に出題されています。同じ献金に関する事件なのに判例が綺麗に分かれていることに注意しましょう。覚え方のコツは、強制加入かどうかというふうに覚えると覚えやすいのではないのでしょうか。
次回は、外国人の人権から入りたいと思います。最後まで読んでいただきありがとうございました!