憲法ー総論(基本原理・天皇)
さて、憲法に入りたいと思います。
今回は、総論についてです。
目次
日本国憲法の基本原理
①国民主権
②基本的人権の尊重
③平和主義
の三大原理が前文において宣言されています。
国民主権:国政についての最高決定権は国民に属しているという意味です
基本的人権:人が生まれながらにして当然に持っている権利のことです
平和主義:先の戦争の反省から、戦争と戦力の不保持を宣言しています
このあたりは、高校や中学の公民や現代社会、政治経済で習ったかと思いますが、ここではもう少し掘り下げてみましょう。
さらに、「主権」という言葉には3つの意味があります。
⑴国家の統治権:国土と国民を支配する権利のこと(例)ポツダム宣言8項
⑵国家権力の最高独立性:国外に対して、独立した主権国家であること(例)憲法前文3項
⑶国政の最高決定権:国の政治のあり方を最終的に決定する権威
また、基本的人権には
⑴固有性:人間であることにより当然認められること
⑵不可侵性:国家権力によって侵害されないこと
⑶普遍性:人種や性別などに関係なく誰にでも認められること
といった性質もあります。
天皇
天皇は日本国の象徴であって、国事行為のみを行い、国政に関する機能を有しません。大日本帝国憲法では、天皇に権力が集中していたため、その反省としてこのような象徴天皇制がとられました。
また、皇位は世襲のもので、皇室典範の定める所により継承します。
天皇の行う国事行為は以下の通りです。
②国会の招集
③衆議院の解散
④国会議員の総選挙の施行の公示
⑤国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任命ならびに全権委任状及び大使及び公 使の信任状の認証
⑦栄典の授与
⑧批准書及び法律の定めるその他の外交文書の認証
⑨外国の大使及び公使の接受
⑩儀式を行うこと
少し聞きなれない言葉もあると思うので解説しておきます。それぞれの語句の意味については以下の通りです。
公布: 成立したルールを公表すること
招集: 期日や場所を指定して集合を命ずること
認証: ある機関によってなされたことを外部に証明すること
栄典: 特定の人に対して栄誉を表彰するため絵に認められた特別な地位
批准書: 条約が締結されるときに同意を与える書面
接受: 儀礼的に面会すること
※ここで注意して欲しいのは、⑦以外は全て認証や公示など間接的な行為なのですが、⑦に関しては「授与」なので天皇が直接授与します。よく問題で授与の認証とかいうふうに出題されますので注意しておいてください。
ここで、憲法で出てくるややこしい「指名」「任命」「認証」を整理しておきます。各行為を行う機関は以下の通りです。これを機に暗記しましょう。
また、皇室財産は国会の議決に基づいてのみ支出することができます。
※皇室財産に関する衆議院の優越の差異
皇室の財産接受に関する国会の議決→認められていない
皇室の費用に関する国会の議決→認められている
まとめ
今回は、憲法の最初の部分である総論と天皇についてみていきました。試験で憲法は5問しか出ませんが、こうした細かい知識を詰めていくこともとても大切になってきます。
一回で覚えようとせずに、一周して憲法改正の分野が終わればまた戻ってきて二週目三週目と知識を確実なものにしていってください!
最後まで読んでいただきありがとうございました。